- 2017-1-12
- お客様の声・過去事例

故人様はワインがお好きだったと、ご家族皆様が口をそろえて仰いました。
お好きなワインを買うために週に1日は所沢から銀座まで電車を乗り継いでいくのだとか、定年を越してからは年に一度はフランスにワインツアーを組んだりと、どれほど故人様がワインを愛していらっしゃったか、そしてどれほどご家族がそんな故人様を愛しておられたか、みなさまのとまらない熱弁でそれを察することができたほどです。
「ワインをイメージした花祭壇なんて、できますか?」
と、なかなか難しい注文を頂いたのですが、なんとかお客様の想いを形にしたい。
デザイナーともたくさん打ち合わせや意見の言い合いをしましたが、なかなかいいアイデアが思い浮かばない。
「お客様。そもそもワインボトルは縦長ですよね。ワイングラスも縦長。ところが、祭壇は横長なんです。1つの祭壇の中でワインを容れ物で表現しようとすると、縦横の比率でどうしても違和感が生じてしまいます」
こう申し上げるとお客様も納得していただきました。
私がご提案したのは、深紅のバラだけを使用した花祭壇でした。
頂点には紺色のビロード額にお納めした故人様のお写真、祭壇は頂点のお写真から左右にアーチを描くシンプルなアウトラインに、深紅のバラの花をでワインの色を表現したのです。
「バラは高くつきますが、故人様の粋な性格であれば、バラ一色の祭壇ではよいのではないですか?」
とご提案してみると、全会一致でその方法が採用されました。
そして、故人様が飲み干しては大切にしていたワインの空瓶を、祭壇の前にずらっと約30本ほどお並べしました。
遺影に使用したお写真はフランスのブルゴーニュ地方の山あいのワイナリーでのお写真。
それだけでも収まらないので、式場内外にもさまざまな故人様のお写真をお飾りさせていただきました。
副葬品としてワインの瓶を一緒に納めたいとのお申し出があったのですが、ビンは棺の中に入れることができないために、出棺の前にワインで末期の水をしてさしあげました。
「おじいちゃん、美味しそうだね」と、みなさまがお柩を囲んではにこやかに嬉しそうにされているのがとても印象深かったです。