
家具調仏壇の成り立ち
仏壇は、真宗門徒の金仏壇に始まり、江戸時代には他宗の庶民でも自宅に仏壇を祀るようになり、銘木を用いた唐木仏壇が普及しました。
一昔前までの日本家屋では仏間が必ずあり、仏壇を納める仏間と、掛け軸などを飾る床の間が並べて設計されていましたが、戦後の高度成長で日本の居住空間は、一戸建てにせよマンションなどの集合住宅にせよ、大きく様変わりしました。
その変化に伴って登場したのが、「家具調仏壇」と呼ばれるものです。
「家具調仏壇」という名称
もとは大阪で研磨剤を製造販売する八木研という会社が「仏壇のあるリビング」というコンセプトで制作したものです。
「現代仏壇」という名称は八木研の商標登録のため、後発の仏壇メーカーは、「モダン仏壇」や「自由仏壇」や「都市型仏壇」など、さまざまな名称でブランド化させようとしています。
これらをひとまとめにした名称として、「家具調仏壇」が一般化していると思われます。
家具調仏壇の特徴
【モダンで斬新なデザイン】
仏間に置く従来の仏壇の要素を排し、むしろ家具に近いデザインのため、オシャレでモダンなデザインのものが多いです。箱型ではないオープン仕上げ、三角形や丸型、左右非対称、壁掛け、コロ付き、ロボット型など、さまざまなものがあります。仕上がりも鏡面仕上げやピアノ塗装などもあります。
【幅広い材質】

ウォールナットやバーズアイメープルなど、これまで仏壇では使われず家具で使用されてきた材木が多く選ばれています。洋材だけでなく竹を使った和風モダンなものや、和紙やアクリルや摺りガラスやステンレスや、これまで仏壇で使用されてこなかったさまざまなものを利用して仕上がっているものもあります。
【小型化】
住宅の狭小化、そして一所定住でなく引っ越しの可能性のある世帯が多いため、従来仏壇よりも小型化が進んでいます。上置仏壇は言うまでもなく、台付き仏壇でも総高さが150センチ程度のものまでです。これは、従来仏壇でいうところの15号クラスで、家具調仏壇全体が従来仏壇よりも小型化していると言えます。
【宗教性の排除】
従来の仏壇は、その構造(宮殿、欄間、障子など)が寺院の内陣を表していましたが、その点家具調仏壇はそれらを簡略化、あるいは排除しています。中に納める仏具で、特定の宗派のものにします。本尊を祀らない、という使い方も可能です。
宗教性や機能性を意識していきましょう
仏壇屋さんやショールームに行かれるとオシャレなものばかり並べてあるので目移りをしてしまうかもしれませんが、家具調仏壇は見た目のデザイン性が先行して、宗教性や機能性がおざなりになることがよくあります。
仏壇の設計により、仏具の配列が中途半端になってしまう。
上台と下台の比率がいびつなため、座布団に座るべきなのか、椅子を用意するべきなのか、などという課題もあります。
長くしっかりとお祀りのできる仏壇を、総合的な観点から選んでいきましょう。