天台宗・真言宗とその葬儀

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天台宗・真言宗とその葬儀

天台宗

天台宗は伝教大師最澄(766~822)が宗祖で、よりどころとする経典は『法華経』です。ご本尊は釈迦牟尼仏(定めなし)。総本山は比叡山延暦寺(滋賀県)。信者数は153万4871人(『宗教年鑑』文化庁編/平成24年版)

そもそも天台宗は中国で開かれました。中国天台宗の開祖は智顗(ちぎ)で、現在でも天台宗の仏壇では三尊の一つとして祀られる僧侶です。中国天台宗を現地で学んだ最澄は、唐から帰京して比叡山で日本天台宗を開きます。

天台宗は顕教(けんぎょう)と密教の儀礼を併用しています。

顕教とは「顕か(あきらか)になる教え」と書きます。経典などの言葉や文字によって全ての人々に教えが開かれていて、後世に渡って体系的な学問としても確立されます。

対して密教とは「密か(ひそか)な教え」と書きます。神秘主義的な教義を、師匠から弟子に直接伝授していき、言葉や文字によって説明できない真理の体得を目指し、凡夫の理解を超える所にあることから「秘密の教え」と言われているようです。

乱暴な言い方をすると、顕教は学問的、密教は呪術的と言えるかもしれません。

そして、天台宗は、この両方を併用する教義を掲げています。祈祷もすれば、座禅も組めば、念仏も唱えます。この総合仏教こそが天台宗の特色です。

そのため、長く日本の仏教教育の中心であったため、後世に渡り数多くの僧侶を輩出し(円仁、円珍、源信、空也、天海など)、さらには鎌倉時代には比叡山で学んだ学僧たちが自らの教義を掲げて新たな宗派を開き、それらは現在でも多くの信仰を集めています(浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞、臨済宗の栄西、曹洞宗の道元、日蓮宗の日蓮など)。

焼香

葬儀には、『法華経』を読み、懺悔し、罪を滅し善を生かすもの。『阿弥陀経』を読み、極楽往生に導くもの。光明真言によって罪を滅するものがあります。何れの場合にも、故人を仏の世界へ導く引導作法が行なわれます。

焼香回数は1回。丁寧にするなら3回。

本尊は釈迦如来ですが、阿弥陀如来や薬師如来の場合もあり、特に定めがありません。

というように、天台宗の形式は、経文、焼香、本尊など、いたってアバウトなのですが、これこそが天台宗の総合仏教ゆえんかもしれません。

真言宗

真言宗は弘法大師空海(774~835)が宗祖で、よりどころとする経典は『大日経』『金剛頂経』『理趣経』などです。ご本尊は大日如来。総本山は高野山金剛峰寺(和歌山県)あるいは教王護国寺(東寺・京都)。信者数は922万8148人(『宗教年鑑』文化庁編/平成24年版、※諸派を含む)。

真言宗は開創1200年になりますが、この間に数多くの諸派に分派しました。真言宗系の新宗教も含めると流派70とも100とも言われています。

これは、真言宗が宗派としての教義を言葉や文字を用いて体系的にまとめるのではなく、師資相承(師匠が弟子に直接教えを伝授する)を重視したためで、作法の違いにより分派していったものと言われています。これは、仏の真理は言葉で説明がつくものではなく、神秘主義的実践を通して得られるものとしていたからです。

真言宗の根本教義は「三密加持」です。この修行を修すると即身成仏するとされています。

三密とは、①手で印を結び(身密)、②口で真言を唱え(口密)、③心で仏を想う(意密)のことを言います。

印とは、左右十指でさまざまな形を作り仏を表します。真言とは仏に発願を働きかける呪文です。

宗団としては複雑な分派を繰り返していますが、開祖である弘法大師の求心力は現代でも衰え知らずです。四国八十八か所巡礼の「お遍路さん」は1000年以上続いてなお止むことはなく、弘法水の伝説は日本各地に広がり、ひらがなやいろは唱など、空海が起源で現代まで息づいているものは数多くあります。

真言宗の葬儀は、故人が宇宙の本体であり絶対の真理である大日如来に帰っていくための儀礼となっています。焼香回数は3回とされています。これは三宝(仏法僧)に帰依するためとも言われていますし、三密(身口意)を修するためとも言われています。

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