
昨今のお葬式は2日に渡って執り行われるのが一般的です。「通夜」と「葬儀・告別式」です。
葬儀と告別式の違い
ところで「葬儀」と「告別式」とはどう違うのでしょうか?

「葬儀」とは宗教者が主導する宗教儀式です。仏教寺院によるお葬式では読経の中で授戒(故人に仏弟子としての戒律を与える)や引導(故人に死んだことを告げて仏道に導くこと)が行われます。遺族や会葬者は焼香をして故人の冥福を祈ります。
「告別式」とは喪主が主導する社会的な儀式です。出棺に先立ち、会葬者が故人に別れを告げる場として設けられています。弔辞や弔電の紹介や、親族や会葬者は棺の中の故人に花を入れてあげたり、喪主は会葬者に挨拶を述べたりします。
実際の葬儀の現場ではこれら「葬儀」と「告別式」は一連の流れの中で執り行われます。
1時間の式次第だとすると、最初の40分が「葬儀」、あとの20分が「告別式」というところでしょうか(※時間はあくまで目安です)。
日本で最初の告別式は1901年12月17日に行われた中江兆民の告別式だと言われています。無宗教者の兆民は葬儀を行わずに荼毘に付すよう遺言したため、友人や弟子たちが告別式と名前を付けた別れの儀式を青山葬祭場で執り行ったとのことです。
一般庶民に告別式が浸透したのは大正時代頃、都市化の進む東京からでした。
元来、葬儀とは葬列中心に行われてきましたが、村落共同体の都市化や、農業から商工業化が進むにつれて大規模な葬列を組むことができなくなり、葬儀の形態も告別式中心となり、やがてそのスタイルは地方へも波及しました。葬儀の役割としての「社会的側面」を、葬列ではなく告別式が担うことになったのです。
葬儀告別式の流れ
ここでは一般的な葬儀告別式の流れをご案内します。葬儀スタイルや宗教や地域によっては異なる場合もありますのでご了承下さい。
【葬儀式】

- 導師入場・開式
- 導師による読経
- 喪主焼香
- 親族焼香
- 一般会葬者焼香
- お手伝い様焼香
- 読経終了・導師退場
- 弔辞・弔電の奉読
【告別式】

- お花入れの儀
- 喪主挨拶
- 閉式・出棺
【弔辞】
故人への弔意を、語り掛けの言葉として表します。故人と親しかった方が代表で霊前の前で奉読するのが一般的です。人数は葬儀の規模によっても変わります。弔辞をしないこともよくあります。
弔辞者を立てる場合、弔辞者の準備や式運営などの段取りのためにも喪主は早めにお願いをしましょう。何を語るかは弔辞者の自由ですが、遺族親族も聞いていることを忘れずに文面を考えましょう。
正式な弔辞では大判の奉書紙や巻紙に薄墨で書き、「弔辞」と書いた奉書紙で包んで用意しますが、便箋に白の封筒という略式でも構わないでしょう。読み上げた弔辞は所定の台や祭壇に奉奠します。
【弔電】

弔電は通夜開式時までに会場に届くように手配します。
そして喪主は、通夜閉式時、あるいは葬儀開式前に、どの弔電を式の中で紹介するかをスタッフと打合せします。全文奉読、名前のみの紹介を選別します。いただいた弔電は祭壇に奉奠します。
※弔辞弔電は、導師の読経を中断して、焼香に入る前に行われることもあります。
【お花入れの儀】
祭壇に飾られたお花を切り取り、それらを棺の中にお納めします。故人の触れることの最後の機会です。遺族親族、会葬者の順に納めて棺の中を華やかにして差し上げます。地域によっては石で棺の蓋に釘を打ちます(石打ち)。
【喪主挨拶】
参列いただいた方々に、親族を代表して喪主から御礼の挨拶をします。喪主に代わって遺族の誰かがするケースもあります。