- 2016-9-9
- 相続関連

秘密証書遺言について
遺言内容を誰にも知られたくない、でも遺言書があることを証明してもらいたい場合の遺言書が秘密証書遺言です。
その内容や注意ポイントについてご紹介していきます。
秘密証書遺言を作るポイント
秘密証書遺言の作成方法は自筆証書遺言に近いです。自分で遺言書を記入して公証役場へ持っていきます。
◎自筆でなくてもOK
すべて自分で記入しなければならない「自筆証書遺言」と違って、代筆などでもOKとされているのが秘密証書遺言のメリットです。また、自筆でなくてもOKなのでパソコンやワープロなどを使っても大丈夫です。署名さえ自筆で行えばいいことになっています。
◎必ず封をする
形式に沿って遺言書を記載したら、必ず封をしなければなりません。封の中に入れた遺言書に使用した印鑑を用いて、しっかりと封印しましょう。
◎証人は2人必要
公証役場に持って行く際には証人が2人必要です。事前に信頼できる人に依頼しておきましょう。ただし、公正証書遺言のように内容を確認する訳ではないので、頼んだ証人に遺言書の内容が漏れることはありません。
あくまでも「遺言書の存在」を明確に証明してもらうために必要な証人です。遺言書の内容は秘密にしたまま「確かに遺言書がありますよ」ということを証明してくれる大事な存在です。
秘密証書遺言のデメリットとは
公証役場という公の機関で記録だけが残ります。実際に証明してもらった遺言書は持ち帰り自宅などに保管することになります。そのため、紛失してしまうケースがあります。公正証書遺言のように原本が公証役場にあるわけではないので、保管には十分な注意が必要となります。
また、中身を誰も確認していないという点が「遺言書が無効になる」というリスクを持ちます。遺言書の書き方などに不備があった場合には、開封しても「無効」とみなされてしまう可能性も含んでいます。
誰にも知られたくない人は秘密証書遺言にすることでメリットを感じる反面、きちんとした内容で記載しなければ遺言書自体が無駄になってしまうデメリットも含んでいます。
さらに、秘密証書遺言の手数料は一律1万1000円と決まっています。
誰にも見られず秘密にできるメリットはあるものの、デメリットを考えるとあまり利用する人がいない遺言スタイルなのが現状です。
秘密証書遺言を発見したら
公証役場から持ち帰った遺言書は自宅に保管することになります。遺言書を書いた人が亡くなった後に、この秘密証書遺言を見つけても家族が勝手に開けることはできません。
この場合も「検認」と言われる手続きを裁判所でしなければなりません。そのため、手続きに時間がかかってしまうデメリットも感じられます。
自筆証書遺言と比較した場合には、メリットを感じられるものの、公正証書遺言と比べるとどうしてもデメリットが感じられてしまうのが正直なところです。
秘密にしたいのか、費用をかけたくないのか・・・など、遺言書に関してはそれぞれの気持ちが左右するものですが、残された家族の負担などを考えると公正証書遺言が最も安全で確実という意見が多いようですね。