- 2016-9-20
- 相続関連

熟年再婚は相続問題のトラブルのもと!?生前にできる対策とは
近頃では「熟年離婚」という言葉がよく聞かれるようになり、珍しいことではなくなってきましたよね。定年を迎えたような年齢の時に離婚することも多いようです。
一方で離婚後に新しい伴侶を見つけて結婚する、あるいは妻や夫と死別した人が再婚する「熟年結婚」も多くなっているのが現状です。
「熟年」と言われる世代では、子供もすでに独立していますから、余生を気の合う相手と共に過ごすことは素晴らしいことかもしれませんよね。
しかし、熟年結婚の背景には、しっかりと対策をしておかなければならない問題点も多いのです。
相続人が一人増える!?
「再婚する」ということは相続人が一人増えることになります。子供達は親との長い歴史の中、「親が亡くなったら遺産を受け取る」ということは当然と考えているでしょう。
しかし、熟年と言われる年齢に再婚するということは、再婚相手は「配偶者」となりますから、自分の死後は配偶者が相続の権利を半分持つことになるのです。
例えば、子供が二人いるケースで見てみましょう。
親が独身であれば、相続は子供が半分ずつ、つまり1/2ずつの相続権があります。
しかし、親が再婚したとします。すると再婚相手が1/2となり、子供達はそれぞれ1/4ずつとなってしまうのです。子供達の権利が親の再婚によって割合が減ってしまうのです。
子供達にとっては、熟年の親に突然再婚相手が出現したら「金目当て!?」と思ってしまうかもしれません。自分にとっては残りの人生を一緒に幸せに過ごしたいと思った相手との再婚が、「相続」絡みで子供達に敵視されてしまうのも残念でなりませんよね。そこで、子供達が納得する対策が必要になってくるのです。
また、子供達に内緒で再婚するという方もいるかもしれませんが、これは自分が亡くなった後に相続トラブルが激化してしまう原因になってしまうので避けるべきと言えます。
再婚相手と子供たちがもめないためにできることとは
おそらく親が「再婚する」というと、おそらく子供達は相続に関する問題が頭をよぎって、ピリピリとするでしょう。
「再婚相手に相続を放棄させる」と子供に話したとしても、自分の死後のことなので子供達はきっと納得しませんよね。相続放棄は生きているうちにできるものではありません。
また、遺言書に「子供達に財産をすべて相続させる」と書いたとしても、再婚相手となった配偶者には「遺留分」として本来の権利の半分、つまり1/4があるのです。
そこで、生きているうちに再婚相手に「遺留分を放棄する」という手続きをしてもらう方法もいいかもしれませんね。
ただ、遺留分をすべて放棄すると手続きしてしまえば、余生を一緒に過ごす配偶者には何も残せないことになります。子供達にとっては、それで納得してもらえるかもしれませんが、愛する再婚相手のその後の生活は気になってしまいますよね。再婚相手を受取人にした生命保険をかけておくと「遺産」とは別に再婚相手へとお金を遺すことができる方法です。
また、子供達も再婚相手も皆が納得できるような遺言書を作ることも一つの方法です。高齢となってからの親の再婚は、子供の心情的にはとてもデリケートなことです。しかし「子供」も「再婚相手」も同様に大切ですよね。自分が亡くなった後に、大切な家族がトラブルを持ったまま、揉めるのは考えるだけでも辛いもの。
自分の余生を一緒に過ごす再婚をする時には、
「再婚相手に遺留分を放棄してもらう」
「受取人が配偶者の生命保険を作る」
「生前に子供達へ贈与をする」
など、トラブルをおこさないための配慮をしておきたいものです。